【勉強】日本刑法学会第93回大会2日目~司法取引など~
刑法学会2日目。
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午前中のラインナップは以下のとおり。
小野晃正先生:「実行着手後の責任能力低下と行為分断の可否」
穴沢大輔先生:「不法領得の意思について」
森川恭剛先生:「性犯罪における強制と不同意」
司会の中には佐久間修先生もいらっしゃいましたが、
大学2年生のときの刑法各論は佐久間先生だったので、これまた懐かしい。
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各出版会社も、刑法学会特別割引で、多くの書籍を販売。
「季刊刑事弁護」の現代人文社さんも。
おもしろそうな書籍はいっぱいありましたが、
刑事系の書籍は、マニアックなものも含めて事務所にある可能性が高いので
注文書(刑法学会特別割引価格)を一通りいただくことにし、
公認不正検査士でもある山口利昭弁護士が
共著で最近出版されたばかりの
を買うにとどめました。
ビジネス法務の部屋: 会社法罰則の検証~会社法と刑事法のクロスオーバー
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午後は分科会。
「接見交通権をめぐる今日的問題」や「取調べ録音・録画と自白及び派生証拠の排除」など、いろいろ気になるテーマはありましたが、
やっぱりここは
を選択。
近い将来導入されるので、興味津々です。
まずは、以下の通りのご報告があり、その後、「ワークショップ」らしく会場全体で活発な意見交換。
青木孝之先生:「米国の司法取引」
辻本典央先生:「ドイツの司法取引」
池田公博先生:「司法取引・免責ー法案の内容と課題・展望」
司法取引をテーマにした今クールのドラマ「天使と悪魔」は
いくらなんでもやり過ぎで、現実にはこんな形にはならないでしょうが(笑)、
録画してドラマとして楽しんでいますし
早速テーマになるあたり、社会の関心の高さを伺わせます。
まだまだ日本ではどのような形になるのか不透明ですが
運用の仕方ひとつで、新たなえん罪をうみかねません。
特に、「共犯者」とされる者の供述の信用性は極めて慎重に検討されなければなりません。
これまで以上に、「自分の罪を軽くしてもらえるから、他の人について(本来より)重く供述しちゃえ!」ということが起こりやすくなるからです。
ただ、今の裁判実務を見ると「慎重に検討してね」というだけ十分だとはいえません。
不当な運用がなされないよう、たとえば
司法取引の合意に至る経緯の録音録画をすべき
という案も出ているようです。
司法取引による合意の結果が書かれた書面だけではそれを自分の裁判で使われる被告人側にとっては、その者に対する反対尋問の材料がなく、不当に被告人の防御に問題がある、
という指摘はもっともだと思います。
「天使と悪魔」のように、ごく一部の上層部以外に知られることなく、司法取引が行われる、なんてことをされたらたまったものではないわけです。
取調べの可視化にも非常に時間がかかり、今なお揉めてるくらいですから
司法取引導入にあたっては、最初から、その過程の可視化を必須とすべきだと思います。
(取調べの可視化によりカバーされる部分もあるのだと思いますが)
今日のご報告やその後の意見交換を聞いていると、
司法取引はこれから(実際に始まった後も含めて)問題噴出となりそうです。
司法取引が導入されれば、捜査段階で弁護人としてどのように対応すべきかについても大きく変わっていくでしょう。
弁護士としても実際の運用が始まる前から問題意識を持ってしっかりと勉強しなければならないと実感しました。
期待していた以上におもしろく、勉強になりました。
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