弁護士ゆきこの事件簿

弁護士@東京。気ままに日々の雑感をつづります。いろんなことに異議があったりなかったり。

【ニュース】Nシステムをめぐる検察の対応

「栃木女児殺害事件」で、検察官からNシステムに関する立証がなされていることが報道されています。

栃木女児殺害公判 秘密扱いの「Nシステム」記録 公判での利用は異例 (産経新聞) - Yahoo!ニュース

現場を指揮した警察官が検察側証人として出廷、自動車ナンバー自動読み取り装置(Nシステム)の記録に関して証言した。通常、秘密扱いにされているNシステムの記録が公判で利用されるのは異例だ。

元特捜検事の前田恒彦氏の記事でも指摘されているとおりNシステムが刑事裁判の中で検察側から出てくることは極めて珍しいと思います。

異例中の異例の事態であることは間違いない。「Nシステム」は表に出してはならない“禁じ手の証拠”とされてきたからだ。 

 

よく誤解されることがありますが、弁護人は、警察や検察官が集めた証拠すべてを見ることはできません。

証拠をめぐる検察官と弁護人のやりとりは一般的には以下のような流れになります。

(かなり省略していますが・・・)

1.捜査が概ね終了し正式な裁判になるということで「起訴」された後、しばらく経ってから、検察官が被告人の「有罪」を立証するために特に重要なものとしてピックアップしたものを「裁判に使いたい証拠」として弁護人に開示されます。
2.それに対し、弁護人が「こういう証拠があれば追加で開示してほしい」と検察官に請求し、それに対して、検察官が弁護人に証拠を開示します。
それでも、法律上、検察官に開示義務が生じるものは限られていますので、すべての証拠が開示されるわけではありません。
3.弁護人は開示義務があるはずなのに検察官が開示義務がないことを理由に拒否していると判断した場合には、開示義務の有無を裁判所に判断してもらうことになります。

 

実際、私もNシステムの開示を求めたところ、「存在しない」として拒否されたことがあります。
警察官は取調べの中で、Nシステムに言及することがあります。
たとえば
「この時間に●●の場所にいただろう。Nシステムでヒットしているんだ。正直に話しなさい。」
というような形です。

弁護人は依頼者の方や共犯者とされている方などから、取調べでそういうことがあったと具体的に聞くことがあります。
それにもかかわらず、検察官からは「存在しない」と回答されます。
存在しないの意味には主に3つあり得ます。
①そもそも指摘されるようなNシステムは「存在しない」
②以前存在したけど廃棄したから「存在しない」
③警察のところにはあるかもしれないが検察官のところには少なくともないので「存在しない」

時には取調べの中で依頼者の方が「Nシステムの結果」として聞いた内容と、裁判で検察官が主張する内容にズレがあるにもかかわらず、「存在しない」として拒否されることもあります。
Nシステムの結果が出てくれば、アリバイが立証でき、無罪となるかもしれなくても・・・です。

そのような対応は不公正だと感じていたところですが、今回、被告人の有罪立証のために利用した以上、今後は、宇都宮以外の他の庁でも弁護人からのNシステムの開示請求にもしっかりと応じていただきたいですね。
ダブルスタンダードとならないよう・・・。

 

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