弁護士ゆきこの事件簿

弁護士@東京。気ままに日々の雑感をつづります。

【書籍】丸山正樹さん『漂う子』のご紹介

作家の丸山正樹さんから、『漂う子』の文庫版をご恵贈いただきました。
丸山正樹さんは、このブログでも紹介させていただいている『デフ・ヴォイス』シリーズの作家さんです。
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ハードカバーだったものが今回、文庫版となったそうです!

文春文庫『漂う子』丸山正樹 | 文庫 - 文藝春秋BOOKS

紹介文を引用します。

父親とともに突然姿を消した少女・紗智を探すことになった二村直。
ただ一つの手掛りをもとに名古屋へ向うが、そこで子供たちを取り巻く過酷な実情を目の当たりにします。
所在が分からない「居所不明児童」、虐待、棄児、貧困……
なぜ人は親になろうとするのか。子供をもつとはどういうことなのか。
そのシンプルで且つ深い問いが、読む者の胸に深く刺さります。
「デフ・ヴォイス」シリーズで「ろう者」に寄り添い、圧倒的支持を得ている著者にしか書き得ない、静かな傑作です。

丸山さんらしい、虐待や貧困等の現実について丹念に調査された上での作品だと思います。

私が『デフ・ヴォイス』に出会ったのも、文庫本化されたものが目にとまったのがきっかけでした。
ハードカバーより気軽に買えるので、きっと読者層も広がりますよね。

デフ・ヴォイスシリーズも重版になったとのこと。

大好きな作品なので、たくさんの人が読んでくれるとうれしいですね。
 

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【雑談】後藤貞人検察官vs高野隆弁護人(模擬裁)

「季刊刑事弁護」100号特別記念企画として行われた模擬裁判員裁判に行ってきました。

【満員御礼】模擬裁判員裁判のお知らせ - 現代人文社

ある模擬事例を素材に、後藤貞人検察官vs高野隆弁護人が法廷活動を行うという企画です。
この組み合わせは刑事弁護界においては夢のような対決なのです。
もちろん、研修を受講したり、研修講師としてご一緒させていただいたり、個別の法廷活動を拝見したり、という機会はあっても、お二人とも弁護士である以上、対決を見る機会はないのです(指定弁護士になり、かつ、たまたま当たれば別ですが)。

実は、この企画、チケットは発売初日で完売という人気ぶりでした。
私も、今回は一人の傍聴人として、楽しみにしていました。

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今後、季刊刑事弁護でも振り返り特集を行う予定(たぶん)なので、中身には立ち入りませんが、お二人とも、本当に本当に素晴らしい法廷活動。

冒頭陳述も主尋問も反対尋問も論告・弁論もすべてが勉強になりました。

そして、何より素晴らしいと思うのは判決後の、お二人による自身の活動への振り返りコメント。
刑事弁護に限らず、素晴らしいなと思う弁護士は、どこまでも自分に厳しく、謙虚であり、ユーモアにあふれているように思います。

 

単に表面的な法廷技術を真似することでは実力はつきません。
単に裁判員裁判を多くこなすことでは実力はつきません。
何歳になっても、何年目になっても、おごり高ぶらず、謙虚に、一歩一歩努力する自分になりたいです。
まずは刑事事件も民事事件も目の前の依頼者の方のために力を尽くすことからこつこつと。 

 

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【書籍】『五・七・五で伝える刑事弁護』

すごくすごくすごーく久しぶりのブログ更新は、宣伝からさせてください。

神山啓史弁護士の『五・七・五で伝える刑事弁護』(現代人文社)が10月24日発売となりました。

五・七・五で伝える刑事弁護

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神山啓史弁護士は東電OL事件や足利事件などの有名な再審無罪事件も担当された著名な刑事弁護人です。

今回、二弁有志の編集委員の1人として出版にかかわらせていただきました。

刑事弁護ビギナーズ2でのインタビューの再録とともに、
今回、そのときと同じメンバー(趙誠峰弁護士、虫本良和弁護士、久保)で行ったインタビューが掲載されています。

「なぜ5・7・5なの?」と思う方もいらっしゃるでしょう。

でも、神山弁護士といえば5・7・5なのです。

神山弁護士と最初に会ったのは、たぶん弁護士2年目。
3時間くらいの法廷技術研修で講師をされていたときです。
そのときも5・7・5で教えていただきました。

神山弁護士は、研修で、「5・7・5」を使います。
それがとても分かりやすて、頭にすっと入ってくるのです。

そんないたって真面目な本ですし、神山啓史の考え方がぎゅっと凝縮された1冊です。
ぜひご一読ください。

 

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【書籍】いとうみくさん『羊の告解』

明日(3月6日)発売予定の『羊の告解』(いとうみくさん著・静山社)の見本本をいただきました。

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縁あって、ちょこっと取材協力させていただきました。

同書は、「加害者家族」となった少年が主人公の児童文学です。 

【告解】罪を告白し、神に許しを求めること――。
しかし、父が犯した罪は中学3年生の息子が思っていた以上に重かった。人を殺した父は、そしてその息子は、許されることを願ってもいいのだろうか……。ある日突然「加害者家族」となった少年の、再生とゆるしの物語。

   (静山社ホームページ紹介文より)

「加害者家族」に焦点をあてた本というのは珍しいのではないかと思います。
しかも、児童文学です。

弁護人は、被疑者・被告人の立場になったご本人だけでなく、そのご家族と接する機会も少なくありません。
突然、「加害者の家族」として見られるという立場に立った方は、しばしば、自分がやってしまったことのように(あるいはそれ以上に)苦しんでいらっしゃいます。
時には、周りからご家族自身が責められ、さらに苦しむこともあります。
子どもがいじめられるのではないか、そんな心配をされる親御さんもたくさんいます。

児童文学でありながら、とても考えさせられる、素晴らしい内容だと思います。
読んでいて、胸が何度もしめつけられました。

「児童文学」というジャンルですが、小中学生の皆さんはもちろん大人の皆さんにもおすすめしたい1冊です。

 

 

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【書籍】マンガ『イチケイのカラス』がリアル

雑誌「モーニング」で連載中の『イチケイのカラス』。
弁護士の間でも話題になっています。
2巻の発売に気づかず、ようやく買いました^^

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1巻でもそのリアルさに驚きましたが、
2巻はさらに現実の刑事裁判を見ているようで、心が痛くなりました。

以下、ネタバレになるので、ご留意ください。

 

 

******

 

このマンガは、1つ1つのセリフに重みがある気がします。
きっとたくさんの調査・取材をされた結果なのだろうと思いますし、
法律監修がしっかりなされている結果なのかもしれないとも思います。

2巻の中で、個人的に、いいなと思ったのは、
 

 「50年後に正しいと思える判断を今しろ

という入間裁判官の言葉です。
これは名言。

すべての裁判官にこういう考えを持ちながら判断してほしいなと。

また、リアルだと感じた1つのシーンは第9話の「弁護人」の姿。

やる気のない弁護人が、安易に被告人の供述調書に同意し、
裁判官の判断で採否を留保して、被告人質問を先行にする、
しかし、弁護人は被告人質問先行の意味を理解することなく、
説教じみた質問だけして、終わっていき、
「寛大な判決を求める」という弁論をする。

ここまででもあまりにリアルでびっくりしましたが、
その後、弁護人が、良い結果が自身の手柄だと思ったまま終わり、
さらには緊急更生保護の手続きへの協力を拒否し、
裁判官からも検察官からも軽蔑されるという・・・。

リアルさと共に、弁護人の姿への強い批判を感じました。

ちなみに「被告人質問先行」については事務所のコラムやこのブログにも何度か出てきていました。

供述調書より被告人質問を | 東京で刑事弁護・刑事事件・裁判員裁判・少年事件なら「東京ディフェンダー法律事務所」

【研修】「尋問をとことん極める」 - 弁護士ゆきこの事件簿



3巻は3月には発売のようですが、「裁判員裁判」がテーマになってくるようです。

これは楽しみ!

 

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【書籍】『刑事弁護人のための科学的証拠入門』のご紹介

事務所HPの方では紹介させていただきましたが、
昨年12月末に、共著本である

刑事弁護人のための科学的証拠入門

が現代人文社より出版されました。

刑事弁護人のための科学的証拠入門

刑事事件は科学的証拠と切り離せません。
たとえば、単純な覚せい剤の所持であっても、覚せい剤に関する鑑定書等が必ず証拠とされます。
電車内での痴漢であれば、手についた微物についての鑑定が行われます。
人が亡くなったら法医学鑑定が行われます。

そうした科学的証拠は、弁護人にとっても理解が困難であり、ともすれば流し読みして終わり、とうことになりかねません。

しかし、実際には「科学的」と言われる証拠にも、多くの問題が含まれていることがあり、それが裁判にとって決定的な意味を持つことがあります。

この本は、「科学的証拠」ののうち、法医学交通事故DNA型鑑定指紋・足跡鑑定薬物毒物鑑定の5つの分野について、入門的な部分を解説するとともに、科学的証拠が問題となる尋問での留意点などを記述したものです。

刑事弁護に注力する弁護士8人で執筆した本ですが、各分野について、専門家の皆様や先輩弁護士、そして後輩弁護士にも貴重なアドバイスをいただきました。

弁護活動をする上で、少しでも役に立つ本になればいいな、と願っております。

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【刑事弁護】接見禁止の実情  Mr. Ghosn's Ban

カルロス・ゴーン氏の事件に関連して、日本での接見禁止の実情について、フランスメディアで報道されているとのことです。

日本の刑事手続きに疑問の声=ゴーン容疑者勾留「家族と面会できず」―仏メディア(時事通信) - Yahoo!ニュース

刑事事件に詳しい日本の弁護士に取材するなどし、「家族が面会できる可能性は低く、できたとしても15分程度。面会での会話は日本語しか認められない」と報道。仏紙ルポワンは「日本語を話さないゴーン容疑者夫妻にとって非常に厳しい勾留条件だ」と伝えた。 

(なお、ここに出てくる「日本の弁護士」は私ではありません)

 
この問題については、以下の接見禁止撲滅キャンペーンの記事でも少し触れています。 

【刑事弁護】接見禁止撲滅キャンペーン、はじめました。 - 弁護士ゆきこの事件簿

国際的な議論になれば・・・ということで、以下では恥を忍んで私なりの拙い英語で書いてみます。

 

That’s true that the judges often ban the suspects to meet their family who know nothing about the alleged facts.
That’s true that the suspects cannot talk with their family or friends in their own languages because the detention center do not have any staffs who can understand such languages.
That’s true that the lawyers cannot witness interrogations, and both the police and prosecutors do not make a recording of such interrogations in many cases.

Not only foreign clients but also Japanese clients feel horribly alone.
Sometimes, they try to make a false confession because they expect change in above ban.

I don’t know the details about the Mr. Carlos Ghosn’s case.
I don’t know whether or not there are any appropriate reasons why the judges ban him to meet their family.

I do know that my clients feel horribly alone.

 

I apologize my poor English.

 

(言いたいのは以下のようなことです・・・) 

日本では 裁判官はすぐに事件について何も知らない家族との接見を禁止する。
日本では拘置所に外国語を理解できるスタッフがいないという理由で、面会のときに自分の言語で会話することを禁止する。
日本では弁護士は取調べに立ち会うことはできないし、多くの事件で警察・検察は取調べの録音録画もしない。
外国人の依頼者も日本人の依頼者も孤独を感じ、時には家族らと面会できるようになればという思いで、虚偽の自白をしようとすることがある。
ゴーン氏の事件の詳細を知らないし、家族が面会を禁止されるべき適切な理由があるかは知らないけど、少なくとも私は私の依頼者たちがしばしば孤独を感じていることを知っている。

 

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