【書籍】「デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士」がイイ!
最近、文庫化されたばかりの本、
「デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士」、
おもしろそうだなと思って買ったまましばらく本棚に鎮座していました。
仕事の休憩にと読み始めたら、一気に引き込まれました。
「ろう」や司法をめぐるいろんなテーマが描かれ、そうでありながら、サスペンスとしてのおもしろさを兼ね備える1冊です。
(なお、以下では、この著書の内容のとおり、「聞こえる人:聴者」「聞こえない人:ろう者」という表現とさせていただきます。)
さて、ざっと思いつくままに挙げてみても
・聴者によるろう者に対する差別
・ろう者と中途失聴者等との文化の違い
・ろう者が必ずしも手話を解しないこと
・不当な取調べ
・作文として作られる供述調書
・ろう者が黙秘権などの概念を理解することの困難さ
・通訳不足に起因する家族との面会の制限
・ろうの家族に生まれた聴者
などなど。
ろう者に対する描き方がどこまで正確なのかは私には分かりません。
ただ、私自身、弁護士として感じてきた「ろう者」が取調べや裁判を受けることの難しさは、描かれた通りの感覚に近いと感じました。
かなり前のことになりますが、ろう者による事件を受任したことがあります。
手話通訳を介してであっても黙秘権などの抽象的な概念について説明することの難しさを実感しました。
また、理解しようとすることへの諦めをもともと持っているように感じ、ひどくもどかしく感じたことを覚えています。
その後、私自身、手話を学び始めて、4年目になりました。
単なる自己満足にすぎないとは思います。
そもそも日本語対応手話を使わない方がいることも理解しています。
それでも、最初の面会の前にあいさつと自己紹介だけでも通訳を介さずにしようと自己満足で覚えていった手話に対して、笑顔を見せてくださった経験が、弁護士である自分が多少なりとも手話を学び、ろうの文化を学ぶことに意味があるかもしれない、と思う1つの原点になっています。
といっても、なかなか手話の単語も覚えないし、通訳者養成講習も欠席が重なってしまっているのですが・・・。
ぜひ、多くの法曹関係者にも読んでいただきたい1冊です。
さて、引き込まれすぎてしまったので、仕事に戻ります。
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